1. ITEM

CHANEL マトラッセを初めて購入した理由とその後の変化

バッグはただのファッションアイテムではなく、人生の“起点”になることがある。

CHANELのバッグを買う理由なんて、ずっと言葉にできませんでした。 高価である。いつかは欲しいと思ってはいたけれど…。 でも、あの日、夫がサプライズで贈ってくれた“白いマトラッセのバッグ”が、私の世界を少しずつ変えていきました。

出会いの一歩 —それは、選択肢になかった世界との出会い

出産・育児・仕事に奮闘していたある日、夫が私にサプライズで贈ってくれたのが、CHANELのアイコニックなクラッシックバッグでした。色は白。マトラッセと言われるのは、フランス語で「ふっくらとした」という意味を持ち、ダイヤ型にキルティング加工され素材が盛り上がって見えるため、実際にふっくらとした印象になるのためだそうです。レザーを編み込んだメタルチェーン、2重のフラップ。

定番の黒ではなく「白が似合うと思った」と言って、なんでもない日に渡してくれたのです。 もちろん、気軽に買えるものではありません。だからこそ、喜びと驚きとともに、私自身が“それを受け取るにふさわしいのか”と少し戸惑ったのを覚えています。

その頃の私は、CHANELについての知識もなく、ハイブランドは自分の選択肢に入るような存在ではありませんでした。

けれど、それをきっかけに「自分にもこんな世界に触れることができるんだ」と感じるようになり、CHANELの歴史や哲学を本で読んだり調べたり。

また、カール・ラガーフェルドのコレクションを知ることで、職人の手によって紡がれるその世界に惹かれていきました。 コレクション前夜にドレスの仕上げを指示するラガーフェルドの姿や、お針子さんたちが作業を続けるアトリエの様子を追ったドキュメンタリーを観て、心が震えたのを今でも覚えています。

中でも印象的だったのは、一人のお針子さんが、半ば笑いながらも恨めしさが分かる顔で「このドレス、いっそこの窓から放り投げたいわ」とこぼしたひと言でした。 裾を数センチ上げるよう告げられたのです。それは、徹夜の緊張と疲労の中にもユーモアと誇りがにじみ出る、なんとも人間味あふれる瞬間でした。

そして同時に、CHANELのアトリエで生まれる洋服が、どれほど妥協のない姿勢と、微細なニュアンスにまで神経を研ぎ澄ませて作られているのかを強く印象づけられる場面でもありました。数ミリ単位で調整を重ね、完璧を追い求める職人たちの姿勢こそが、あの美しさを生み出しているのだと、深く胸を打たれました。

このバッグに似合う私でいたい —意識の変化と人生のステージをひとつ上げる感覚

バッグを手にした瞬間、それをただ持っているだけではなく、「このバッグに似合う私でありたい」と強く思いました。立ち居ふるまいや装い、そして姿勢にまで目が向くようになりました。CHANELのバッグは「ただ持てば様になる」ようなものではなく、自分自身の体のラインや所作も含めて全体でバランスを取ってこそ美しく見えるものだと感じたからです。

特に意識するようになったのは「姿勢」。猫背でこのバッグを持っていたら、その魅力を半減させてしまうような気がして、自然と胸を張るようになりました。

そして、それだけではなく、私はトレーニングを始めました。かれこれ5年以上続いています。身体を整えることは、ただ体型を保つためだけでなく、自分の装いに自信を持つため、そしてCHANELのバッグを“格好よく持つ”ための、大切な習慣になっていきました。

年齢を重ねても、このバッグを自然に、そして品よく持ち続けたい。その想いが、日々の姿勢や動作、そして身体づくりへの意識を支えてくれているように思います。

バッグを持って出かけたいという気持ちから、お出かけするときの靴にちょっと気を遣うようになりました。
夫をデートに誘うようになりました。
夫と食事に行く際には少し良さそうなお店を選び提案するようになりました。乳幼児二人を連れてのちょっと良いお店は限られていましたが、それでも半個室になるようなお部屋が用意されているお店へ行ったりしました。

2人で出かけることができる日には、都内のホテルのレストランでそのコンセプトや世界観に包まれながらお食事や会話を楽しみます。ある日には、贅沢にたっぷりとしたシルエットのロングワンピースに、マットな質感でシックに決まるストレートのシルエットのロングブーツを合わせ、そこに白いマトラッセのバッグを持ちました。上品だけれど、どこか少しカジュアルに抜け感を出したコーディネートは、私にとってとても心地よいバランスで、自分らしいおしゃれを楽しめた一日だったと思います。

特別な空間で、夫とゆっくり食事を楽しむ時間は、バッグが与えてくれた“非日常”の贈り物のようでした。

そういう日に大体、夫は「やっぱり買ってよかったね。すごく楽しそう」と笑ってくれます。 彼にとっても、私が楽しんでいる姿が何より嬉しいようで本当にありがたいことだなと思います。

好きを語る勇気 —「私=CHANELラバー」への自己開示

「ブランドを相手にどう思われるだろう」という不安は常にあります。 とくに初対面の方にお会いする際は、CHANELを持たないようにすることが多いです。

けれど、何度か顔を合わせるコミュニティの中で、思い切って「実はCHANELが好き。私にとってSpecialな意味を持っているブランドなのです。」と打ち明けたことがありました。 そのときの私は震えるような気持ちでしたが、 夫が初めて贈ってくれた白のマトラッセがきっかけであること、そこからCHANELの背景を学び、興味が芽生えていったことを正直に話しました。

すると返ってきたのは、共感と好奇心に満ちた言葉でした。 「本当に好きなことが伝わってくる」「もっと話を聞きたい」「憧れのバッグを見せてほしい」「持っている姿が自然で素敵」と言われたのです。

その日から、私は“CHANELラバーとしての自分”を自然に受け入れられるようになったと感じています。

世界は、思っていたよりも優しかったのです。

すべての始まり —“白のマトラッセ”がくれたもの

ある日、夫にこんなことを聞かれました。

「CHANELのバッグを一つだけ残せるとしたら、どれを選ぶ?」

私は迷わず、こう答えました。 「白のマトラッセ」

それは、アイコニックなモデルだからという理由だけではありません。 私のCHANELとの物語、そして自分自身が変わり始めた“起点”だからです。

あのバッグがあったから、ラグジュアリーの世界を知りました。 書籍や映像を漁り、CHANELの経営戦略にまで関心を持ち、Ready to wearにも運よく巡り合い手にする機会を得ました。 将来を見越して、しなやかな身体を保ちたいとトレーニングまで始めました。これまで出会えなかった人にも出会うことができ、ファッションやブランドについて語り合える新しいつながりも生まれました。

それは、人生の“ステージ”が変わるきっかけだったのだと思います。

余韻 —CHANELとともに続いていく私のこれから

CHANELのバッグは、私にとって単なる所有物ではありません。 それは、「どう生きたいか」を静かに問いかけてくれる存在です。

バッグを手に取るたび、その日一日のふるまいや装いを、少しだけ丁寧に意識するようになりました。 たとえば、姿勢や言葉遣い、時間の使い方。小さな所作が「自分らしさ」をつくっていくことを、このバッグが教えてくれている気がします。

そして、そんなふうに在りたいと願う気持ちが、日々の自分を少しずつ導いてくれている気がします。

この白いマトラッセとともに、これからも人生を丁寧に重ねていきたいと思っています。


あなたにとって、「人生を変えるきっかけになったモノ」はありますか?

もし、CHANELのように、あなたを一歩引き上げてくれる存在があるなら、それはとても大切な“相棒”です。

よかったら、あなたの「モノにまつわる物語」も、ぜひ聞かせてください。 コメントやSNSでのシェア、お待ちしています。

ITEMの最近記事

  1. CHANEL マトラッセを初めて購入した理由とその後の変化

  2. ラガーフェルドからブレイジーへ──シャネルにおける継承と革新の物語

言語切り替え

PAGE TOP