カール・ラガーフェルドの名言集『カール・ラガーフェルドのことば』(河出書房新社)をご紹介します。
本書は、60年以上にわたりファッション界を牽引し、「モード界の帝王」と称されたカール・ラガーフェルドの知的でユーモラスな言葉を集めた一冊です。
この本を読んでいると、巨匠を前にして恐縮ではありますが、少し気難しく哲学者のように扱いにくく、それでもクスッとしてしまうような愛されるおじいちゃまのように私には感じられました。
カール・ラガーフェルドのCHANELに魅了された
私がCHANELに魅了されたのは、まさにカール・ラガーフェルドがクリエイティブディレクターを務めていたからです。
コレクション発表前夜に、カール・ラガーフェルドが「ここ、直して、これも」と言うたびに待機しているアトリエのお針子さんがそのドレスを直さないといけないわけです。
度重なる修正、徹夜必至の状況にそのお針子さんが「あぁ、この洋服この窓から今すぐ放り投げたいわ!」と笑い半分諦め顔で言っているのをドキュメンタリーで見ました。
おそらく大部分仕上がっていたのでしょう。また、今から糸をほどき数センチの裾を上げて縫い直すという作業がどれ程時間がかかるものなのか(数時間はかかると予測できる)をその顔が物語っていました。
しかしそうは言いつつも「この仕事は好きよ。誇りを持っている」と尊敬するカール・ラガーフェルドの要求に全部応えていくプロフェッショナルなアトリエの方たち。
仕上がってきたものに対して、最後の裾何センチというところに妥協しないカール・ラガーフェルドに、これがクラフトマンシップと言われる所以なのだと知り、次はCHANELではどんなものを発表するのだろうと毎回ワクワクするようになりました。
朝方まで修正を繰り返すお針子さんたちが早朝、コレクション開始前にその発表する洋服をそれぞれが羽織ったり靴をひっかけて、ハイテンションで、ふざけ合いながらランウェイを歩く姿もとてもキュートで、私の心に残るには十分でした。
時代の先端を行くデザイン
彼は1983年からクリエイティブディレクターとしてCHANELの指揮を執っています。
ガブリエル・シャネルが築いたスタイルを現代的に再解釈し続けたことは有名で、彼のデザインは、伝統と革新を見事に融合させ、常に時代の先端を行くものでした。
カール・ラガーフェルドの言葉
カール・ラガーフェルドの言葉には、彼の独特の美学や哲学が色濃く反映されています。
例えば、「ファッションは過去ではなく、今この瞬間を映し出すものだ」という彼の言葉は、常に現代性を追求する姿勢を表しています。また、「モードとは一つの態度であり、精神のことだ」という考え方は、ファッションを超えた深い洞察を感じさせます。
本書を通じて、カール・ラガーフェルドの思考や創造の源泉に触れることで、彼のデザインがなぜこれほどまでに人々を魅了し続けるのか、その理由が理解できるでしょう。
CHANELを愛する私にとって、彼の言葉はファッションへの情熱をさらに深めてくれるものとなりました。
“わたしはシックなハンガーでありたい”という以前の投稿もこの本にある一文です。
『カール・ラガーフェルドのことば』は、ファッションに興味がある方だけでなく、彼の生き方や哲学に触れたいと考えるすべての人におすすめの一冊です。
ぜひ手に取って、カール・ラガーフェルドの世界観を感じてみてください。
『カール・ラガーフェルドのことば』の目次
- カール、人生を語る
- カール、モードを語る
- カール語録1
- カール、スタイルを語る
- カール、カールを語る
- カール、シャネルを語る
- カール、贅沢を語る
- カール、体型を語る
- カール、デザインを語る
- カール、挑発を語る
- カール、名声を語る
- カール語録2
- カール、本を語る
- エリザベト、カールを語る
- カール、カールを語る2
私は、「カール、本を語る」と「エリザベト、カールを語る」の章が好きです。
特に母親の強烈なニヒルな言葉は、多分にカール・ラガーフェルドに影響を与えているのだろうなとどの語録を読んでも思いました。
肝っ玉かあさんをを見ているようで、私は好きです。
一つ紹介
母親のエリザベトがピアノをカール・ラガーフェルドに弾かせようとしたそうです。
彼が演奏をしていると、ピシャリとピアノの蓋を閉じてこう言ったと。
絵を描きなさい!
絵ならここまで
神経に障らないでしょ
出典:「カール・ラガーフェルドのことば」
「カール・ラガーフェルドのことば」
カール・ラガーフェルド(著), 中野勉 (翻訳)
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